1億円あっても不安は不安
お金に関する相談を受けていると、あらためて感じることがあります。それは、「お金だけでは解決しない問題もある」ということです。
もちろん、資産が増えることで安心感が高まる場面はあります。しかし、資産が1億円あっても不安な方は不安です。反対に、資産がそれほど多くなくても、落ち着いて生活されている方もいます。
その違いは、資産額そのものよりも、「これからも稼いでいけるという感覚」や「困ったときに頼れる人がいるかどうか」といった部分にあるのではないかと感じています。
仕事を通じて能力を磨くこと。地域との関わりを持つこと。友人とのつながりを大切にすること。
こうしたことは、一見するとお金とは直接関係がないように見えます。しかし、長い目で見ると、生活の安心感を支える大切な要素だと思います。
少し極端な想像ですが、もし「お金」という仕組みが存在しない世界を考えてみるとどうでしょうか。
野菜を育てる人、狩りをする人、食材を料理する人、運ぶ人。それぞれが役割を分担しながら生活していくことになります。そう考えると、社会は結局、今と同じように人と人の関係の中で成り立っていくのではないかと思います。そうであれば、やはり人とのつながりはとても大切なものです。
私は、お金は「社会の中で協力するための道具」の一つだと考えています。
寄付と税金について
その意味で、お金の使い方としてもう一つ大切にしたいのが「寄付」という考え方です。
自分だけが豊かになるのではなく、社会全体が少しずつ良くなっていくことも大切です。
個人的な話になりますが、私自身も20代のころから、月に数千円ほどですが寄付を続けています。
きっかけはある本を読んだことでした。「収入の一割を寄付しなさい」という記述がありました。さすがに一割は難しいと感じ、まずは1%だけやってみることにしました。
少し打算的な言い方かもしれませんが、寄付を続けていると、自分が社会の一部として役に立っているという感覚が生まれます。それが結果として、自己肯定感を高めてくれるようにも感じています。
そして、お金を通じて社会に関わる方法は、寄付だけではありません。「税金」もその一つです。
お金については、若いころに少し苦労した時期がありました。その頃から自分で所得税や住民税を計算するようにしていたのですが、そのときに感じたのは、意外にも「税金安い!ありがたい!」という感覚でした。
月に数万円ほどの税金で、日本という社会の中で暮らしていける。そのことを考えると、「これは意外と安いのではないか」と感じたのです。その感覚は、今でもあまり変わっていません。
税金については、「取られている」「奪われている」と感じてしまう方も少なくないと思います。
しかし少し周りを見渡してみると、私たちはさまざまな形でその恩恵を受けています。
警察官や消防士の方々、医療に関わる人たち、学校の先生。
自衛隊の方々や、社会を運営するために働く多くの公務員。
道路や橋、水道や電気といったインフラも含め、数え始めればきりがありません。
そうした社会の仕組みの中で、私たちは日々の生活を送っています。
そのことを考えると、個人的には「月に数万円でこの社会に参加できているなら、決して高くはない」と感じています。
もちろん、税金の使い方には無駄がないか、効率的に使われているかを見ていくことも大切です。
ただ、まずは自分たちが社会の中で多くの恩恵を受けながら生活していることを感じてみることも、お金との向き合い方を考えるうえで大切ではないかと思っています。
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